今春の高校入試の概況(2)」(都立編②)

都立一般試験の出願傾向

 ① 都立全般
 一般試験の最終応募倍率は1.25倍で、大幅減となった前年度(1.29倍)からさらに0.04ポイント下がり、都立全般における低倍率化が底を打たない状況です。私立授業料無償化政策が完全に定着したことによる「手堅い私立単願へのシフト」が一般入試でも継続しているようです。応募者が定員に達しなかった全日制の学校は前年度からさらに拡大し、普通科の約3割近くの学校で定員割れ、あるいはそれに近い全入状態が起きています。
 男女合同募集の普通科の倍率は1.33倍で、前年度(1.36倍)より0.03ポイントダウンとなりました。コース制、単位制普通科においても倍率は軒並み下落し、普通科全体では1.31倍と、前年度(1.34倍)からさらに下がりました。
 専門学科では、前年度に1.30倍の大幅アップを見せた農業科が反動で1.09倍へダウンしました。専門学科の募集人員の3分の1を占める工業科は、デジタルスキル等の学科改編効果が推薦では見られたものの、一般入試では前年度の0.78倍から0.72倍へとさらにダウン。商業科も0.90倍(前年度0.98倍)と、1.0倍を大きく割り込む状態に逆戻りしました。専門学科全体としては前年度の1.01倍から0.93倍へとダウンし、全入に近い学科が続出しています。また、総合学科でも前年度の1.25倍から1.22倍にダウンしました。
 
  ② 高倍率になった高校
 男女合同の学年制普通科でもっとも高い倍率になったのは、前年度2位だった豊島で2.12倍でした。2021年の新校舎誕生以来、受験生を惹きつけ続けている同校は、都立全体の低迷を余儀なくされる中でも圧倒的な人気を維持しています。次いで目黒2.09倍、駒場2.08倍、日比谷と青山が2.06倍と続き、応募者数が500人を超える学校もあるほどの激戦となりました。
 単位制普通科の新宿は2.21倍と、前年度(1.94倍)の2倍割れから再び反動で2倍台に乗せてトップに返り咲きました。前年度トップだった芦花は1.46倍へと大きく数値を下げ、激しい隔年現象が見られます。総合学科のトップは晴海総合で2.08倍となり、前年度トップだった杉並総合(1.42倍へ急落)を大きく引き離して厳しい入試となりました。
 
 

近隣校の状況

 日比谷(2.06倍)は一般応募者520人で、前年度と同水準の高倍率を維持しています。全日制普通科の中で応募者が500人を超えた数少ないトップ校の1つです。戸山が52人減・1.88倍と減少しており、毎年高倍率の戸山を敬遠した受験生が自校作成問題実施校なら新宿(78人増・2.21倍)へ、共通問題実施校なら小山台(44人増・1.63倍)などに移動したものとみられます。青山(22人増・2.06倍)も例年並みの2倍を超える高倍率です。ほかにも、進学指導特別推進校の新宿高校、駒場高校、小山台高校、さらには進学指導推進校の豊多摩高校、竹早高校、北園高校、城東高校、江北高校、調布北高校、上野高校などが高倍率になりました。やはり大学進学指導に力を入れている高校には受験生が多く集まってきます。
 旧6学区トップ校の小松川(1.17倍)は一般応募者297人で、前年度(1.19倍)と同様の低倍率が続いています。城東(1.64倍)は前年度一転して応募者を回復させ、400人台に戻しています。上野(1.87倍)は前年度よりやや減らしたものの、19年度から続く1.8倍以上の高い壁を今春も維持しました。1.6倍~1.8倍くらいの高水準で推移していた小岩(76人減・1.37倍)が落ち着きました。近隣で大きく増えている都立高校が見当たらないため、私立高校などへ流れた可能性も高いと思われます。深川(70人減・1.43倍)は晴海総合(78人増・2.08倍) や江戸川(1.55倍)などへ移動したものと思われます。
 本所(1.44倍)は2024年度入試で2.01倍という高倍率になったことで、翌2025年度は敬遠されて1.51倍と激減し、今年度もさらに応募者は減っています。竹台(1.39倍)は新校舎・新グラウンド効果の一服と都立全体の安全志向を受け、前年に続き応募者をやや減らしました。篠崎(0.89倍)は昨年度(0.84倍)とほぼ同じ状況で、近隣私立(関東第一など)への生徒流出に歯止めがかからない状況が浮き彫りになっています。南葛飾(1.26倍)は前年までの1.4倍台から下げたものの、偏差値40以下の学力帯の中では依然として堅調な応募者数を維持し、独自の強みを発揮しています。